あけまして?おめでとうございます?
もう一月も終わりですが、あけましておめでとうございます。
昨年は、私の脚本の舞台が4本ほど公演されてうれしい限りです。
その中で私の脚本を気に入ってくれた方が私の脚本を使って舞台を作ってくれるそうです。
自分の劇団で舞台脚本を書いて現在4年目、ついに外部公演までにこぎつけることが出来ました。
やっぱりというかなんというか、継続は力だなと。
初めはなぁなぁで始めた脚本もだんだんと楽しくなり、良くも悪くもプライドも出てくるようになりました。
脚本家はこういう話がやりたいを形にする仕事だと思っておりますが、ずっと自分の書きたい話を書いてきたので、これから依頼が来た時にそれにこたえられるかどうかは少し不安ですね。
でも、こうして物書きとして人から認められてきたんだなと言う嬉しさがここ最近ずっと胸の中に残っています。
今年は既に自分の劇団での公演も含めて6本ほどお話を書く予定があります。
正直こなせるのかどうかこれは心配でしょうがありません。
今まで早くても1か月ほどかかっていたものを1年間で6本。
単純計算では2か月に2本上げればよいので間に合いそうな気もしますが、そんなに単純な話でもなく。書けないときはとことんかけない。
弱音も吐きつつ、私が書いたお話がどんどん舞台になっていく。文字が目で見える物語に変わる。これから提供した脚本が演出家と俳優によってどんな物語に変化していくのかとても楽しみです。
本番を見れることを楽しみにしております。
Cafe fiction sttera ragazza エピローグ あとがき
【エピローグ】
カフェフィクション
理恵が定位置でコーヒーを飲んでいる。それと向かい合って、悟もコーヒーを飲んでいる。店の扉の鈴がなる。沙耶と、千歳が帰ってくる。千歳の服が私服に変わっている。
千歳 ただいま!
沙耶 帰りましたー!
悟 お帰り―。どうだった?保房さんの所の発表会は?
千歳 面白かったです! 響ちゃんのお話、すごく良かった!
沙耶 ねぇ! 明日香ちゃんと保房さんのお芝居もすごかったです!
悟 おおー、どんなお話だったの?
千歳 はい、一人の女の子が、最初はすごく不幸なんだと思っていたんですけど、周りの人たちが、その子に幸せってこういう物なんだよって教えてあげていって、自分が幸せだったことに気づくってお話しでした! もうすっごい共感しちゃいましたよ~。
悟 なんか効き覚えがあるね。その話。
沙耶 保房さんが一人で7人も演じ分けているのが本当にすごくて!
悟 あの人、本業保育士だったよね? でも、そうか、そんなお話だったんだ。
千歳 マスターも行けばよかったじゃないですか。
悟 僕が行ったら誰がお店にいるのさ。いいんだよ。こういうのは若い子達で楽しんでくれば。
沙耶 言動がおじさんみたいになると本当に老けますよ。店長に、発表会で出た名台詞を教えてあげますよ。
悟 うん。
沙耶 君だけじゃない、全ての子供たちは等しく、星のように輝くことが出来る。だから、自分からその輝きを無くすようなことをしないで! 星の王子様のセリフです!
悟 その台詞、今の流れで何も関係なくない? そういえば、なんてタイトルだったの?
千歳 はい! 星の少女ってタイトルでした!
悟 ふーん。いいタイトルだね。
千歳 あ、おかわり注ぎますね!
千歳はコーヒーサーバーを手に取り、悟のカップにコーヒーを注ぐ
沙耶 そういえば、この間美穂さんにお茶菓子貰ったんですよ! 一緒に食べませんか?
悟 いいね。お楽しみ会の感想もっと聞きたいし、一緒にお茶にしようか。どんな奴?
沙耶 確か、山吹色のお菓子って言ってました!
悟 それって、賄賂なんじゃ……。あ、僕も手伝うよ!
沙耶と悟は二人で厨房に入っていく
千歳 沙耶さんは、本当に面白いなぁ。
理恵のカップにコーヒーを入れようとすると、理恵の姿が見えるようになる。
千歳 え?
理恵 千歳ちゃん。悟を幸せにしてあげてね。
千歳 ……。はい、お義父さんにもらった幸せは、私が必ず何倍にも返して、お義父さんを幸せにして見せます! 私達は、家族ですから! 任せてください!
理恵 うん。
鈴の音、響、明日香、保房、美穂、望が店に入ってくる
美穂 こんにちは~!
明日香 おなかすいた~。店長なんかご飯~。
響 千歳~、響はありがとう~。
望 いいんですか、ご一緒しても?
保房 常連のよしみじゃないですか~。お茶にしましょう?
悟と沙耶が戻ってくる
悟 うわ! なんかいっぱいいる!?
沙耶 おー! オールスターですね!
悟 千歳ちゃん! 席に御案内して!
千歳 はい! いらっしゃいませ! カフェフィクションへようこそ!
賑やかな店内。本日の営業が始まる。
完
~あとがき~
最後まで読んでくれた方、ここだけ読んだ方でも、皆さんありがとうございます。
夜永ハルです。
初めて、過去に書いた作品をブログに掲載しました。
この作品は私が舞台に出演する側ではなく、創る側として初めて書いた作品です。
元々はイベント用でこのCafe fictionを執筆していた中で、急遽1時間程度の舞台公演をすることになってしまい、急遽執筆したものでした。
イベント用は、店長の鈴木悟を主人公を中心に、へんな常連客とアルバイトの沙耶ちゃんに振り回されるコメディ作品で、店に来る客の一人として千歳ちゃんが存在しました。
イベント用の千歳ちゃんは出演者の兼ね合いでお披露目することが出来ず、じゃあこの子を主人公に物語を書こうが切っ掛けでした
ネグレクト気味の恵庭家、実際ネグレクトを主題に置くともっと重く、えぐい話になりそうなもので、今の私がゼロから執筆したらかなり重たい物語になりそうな気もします。
家族愛をテーマに構成されていまが、本当の家族ではなく、絆が本当の家族を作るんだよというお話で、別に本物の家族をディスるわけではありませんが、昨今見る毒親や、虐待に対して知らないだけでもっと素晴らしい世界はあるんだよとこの物語では語りたいと思っています。
実際虐待されている子供はそれでも実の親の愛を求めてしまうことも多いようですが。
さて、物語を最初から最後まで読んでくれた方は気になる点があるかと思います。
そう、この物語は続くのです。
悟と理恵の関係。悟の実家、沙耶の過去。他にもいろいろな伏線?のようなものをちりばめており、実際次の作品、Cafe fiction riva ricostruzioneは沙耶の過去に言及したものとなっております。
三作品目は現在まだ執筆していませんが、来年あたりを目途に執筆し、実際舞台公演をしようと考えています。
もし、それをご覧になる期間があると私はとてもうれしいです。
では、また
Cafe fiction sttera ragazza 第5章
【第5章】
1週間後。カフェの店内。沙耶と千歳が、テーブルの掃除をしている。理恵は変わらず定位置でコーヒーを飲んでいる。
鈴の音、保房と、響が入店する。響はお菓子の袋を持っている。
沙耶 いらっしゃいませ! カフェフィクションへようこそ!
千歳 いらっしゃいませ。
保房 こんにちは~。
響 良かった、いた。
沙耶 あれ、明日香さんは御一緒じゃないんですね?
響 お姉ちゃんは後で来るって。
保房 走って行きましたね~。若い子は元気です。
沙耶 珍しいですね。お二人が別々に行動するなんて。
響 私達は別の人間なんだから、別に行動することぐらいあるよ。
沙耶 それもそうですね! 千歳ちゃん、お席へご案内してください!
千歳 はい、こちらです!
保房 あら~。ここで働いているんですか~?
千歳 あ、はい。そうなんです。恵庭千歳です。改めてよろしくお願いします。
保房 保房です。保母です。
千歳 え?
保房 保房で保母です。
千歳 ほ、ほほ、ほぼ?
保房 うふふ~。
沙耶 またやってるんですか?
保房 楽しくってつい~。改めて、保房娃早です。保育士をしています。
千歳 あ、保育士さん! 保母さん!
保房 はい~。ここの店長とは結構長い付き合いですから。いい人なんで、安心して働けますね~。
千歳 あ、はい! マスターには良くしてもらっています。
保房 頑張ってくださいね~。
響 千歳。
千歳 はい?
響 あのね、今日はお礼を言いに来たの。後、これあげる。
響は持っていたお菓子を袋ごと渡す
千歳 へ? あ、ありがとうございます? お礼?
響 この間、私達が悩んでたお楽しみ会の内容を考えてくれた事。
千歳 あれは、私別になんにもしてないですよ。ただ思った事を言っただけで。
響 それが、私達が悩んでいた事を解決してくれたの。結局台本は、私が全部書くことになったんだ。
千歳 そうなんですね。
響 うん。私が本編を書いて、お姉ちゃんが資料を集めてくれて、保房さんが添削してくれる。
保房 いい形に収まりましたね~。
響 だから、千歳のおかげ。千歳のおかげで私のやりたいことが見つかるかもしれないから。
千歳 やりたい事?
響 うん。やりたい事。今まで全然分からなかったの。
沙耶 今まで引きこもりさんでしたもんね。
響 うん。
千歳 なんで、そんなにやりたい事を探しているんですか?
響 生き甲斐が欲しいの。
千歳 生き甲斐ですか?
響 うん。夢とも言うのかな。
千歳 夢……。
響 私は、生きるために夢を探してるの。後、友達。
千歳 友達?
響 千歳、私と友達になって。
千歳 え?
響 知らない人に声をかけるのは、誰でもいいって訳じゃないんだよ? この間、千歳はお店に来てからずっと私達の事を見てたし、その後も、私達の事を真面目に考えてくれたんだもん。絶対いい人だと思ったから声かけたんだよ。
沙耶 響ちゃんがこんなにしゃべってるの初めて見ました……。
保房 私もです~。
響 私だって、普段色々考えてるもん。それをみんなより早く言葉にできないだけで……。
鈴の音、明日香が入店する。
明日香 こんにちわ―! ごめん響、いい資料見つからなかったー! ってあれ? どうしたのみんな?
響 お姉ちゃん。千歳と友達になった。
明日香 え?
響 千歳と、友達になったよ。
明日香 おお! さっすが私の妹。
千歳 え!? 私はまだ何も……。
響 駄目なの?
千歳 あう、駄目じゃ、ないです……。
明日香 ごめんなさい。千歳ちゃんね。この間は自己紹介もしないでごめんね。星月明日香です。響の双子の姉で、今年で19歳。
千歳 19歳……。恵庭千歳です。双子なんですか?
明日香 全然似てないでしょ? 二卵性だからね。私の方が早く生まれただけだけど、それでも私がお姉ちゃんよ。
響 んー、お姉ちゃんはお姉ちゃんがいい。
明日香 んー! 私も響が大好きよー!
千歳 とっても中がいいんですね。
明日香 響はたった一人の妹だからね。大切も大切! だから、千歳ちゃん。響の事どうかよろしくね。この子マイペースだし、ぼーっとしてるから何考えてるか分からない事があるけれど、すっごくいい子だから。
千歳 そんな、私の方こそ! 私も今までろくに友達なんて出来たことなかったので……。
響 じゃあ、私達おんなじだ。
千歳 おんなじですね。
保房 ん~、仲良きは美しきかな~。
沙耶 こういうのは何度見てもいいものですね~。
明日香 響に友達が出来て、お姉ちゃん嬉しい。
響 お姉ちゃんもなろうよ。
明日香 え、私も?
響 千歳もお姉ちゃんと友達になりたいって。
明日香 そうなの?
千歳 え!? そ、そうですね! 明日香さんともお友達になりたいです!
明日香 そっか、うん。私も千歳ちゃんとお友達になりたい。よろしくね!
千歳 はい! よろしくお願いします!
響 じゃあ、それ、やめよう。
千歳 え!?
明日香 友達になったばかりなのに!?
響 敬語。私、友達に敬語使われるの好きじゃない。
明日香 あ、ああ、敬語か。
千歳 びっくりしました。でも、私の方が年下ですし。沙耶さんも保房さんも敬語じゃないですか!
保房 私達は、誰に対しても敬語ですよ~。
沙耶 なんだか、これが板についちゃってますよね~。
明日香 あの二人には一度お願いしたけど、聞いてもらえなかったわね。
響 んー、頑な。
千歳 なら、私も……。
響 千歳は、本当はそっちじゃないと思う。
明日香 本当の千歳がみたいなぁ。
千歳 あ、うー。分かったよ。響ちゃん、明日香ちゃん……。んー! なんだか恥ずかしいです!
沙耶 まぁまぁ、これから慣れていけばいいじゃないですか。それよりも、みんな可愛い―! みんな私の妹にしたいですー!
響 おおう。
明日香 ちょっと沙耶さん!? 苦しい……!
千歳 あはは……。
保房 すっかり、肩の力が抜けましたね。とてもリラックスしていて、とても楽しそうです。
千歳 私ですか?
保房 もちろん。初めて見た時は、これから戦場に行くんじゃないかと言うような状態でしたが~。すっかり、安心しているみたいです。
千歳 はい、ここはもうすっかり私の家です。
保房 良かった。今のあなたの笑顔はとても素敵です。
千歳 はい!
悟 あの~。
悟が厨房から顔をのぞかせる。
悟 みなさん、そろそろご注文の方うかがってもよろしいですか? 沙耶ちゃんも仕事~。
明日香 あ、ああ! すいません! 響! ちゃっちゃと決めるわよ!
響 ラジャー。
保房 私はカフェラテを~。
沙耶 はいはーい! 承りましたー!
バタバタと、席について注文をしていく面々
千歳 あの、マスター、すいませんでした。
悟 ううん、友達が出来て良かったね。
千歳 はい!
鈴の音、恵庭恵が店にやってくる
沙耶 いらっしゃいませ! カフェフィクションにようこそ!
恵 こんにちは。
千歳 ……ママ?
悟 姉さん?
沙耶 えええ!?
恵 元気そうね、悟。
悟 また何の連絡もなく。いきなり何しに来たの?
恵 もちろん、千歳を迎えによ。
悟 手紙には1ヶ月と書いてあったと思うけど。
恵 予定が早まったのよ。千歳、帰るわよ。
響 待って。
恵 何あなた。
響 千歳が嫌がってる。
恵 はぁ? あなたなんなの?
響 私は千歳の友達。
恵 はぁ?
響 千歳のお母さんでも、千歳が嫌がってる事をする人は、私嫌だ。
恵 千歳。
千歳 はい。
恵 友達を作るのは構わないけど、つるむ相手を考えなさい。こんな見るからに陰キャで、年上に礼儀もなっていない奴と仲良くするのは、ママ、許せないなぁ。
千歳 響ちゃんはそんな子じゃ
恵 何? 口答え? いつからそんなに
沙耶 お客様~、当店はカフェなので、席についてご注文をして頂けますか?
恵 私は客じゃないわよ。どいて。
沙耶 お客ではないなら、お帰り願えますか?
恵 チッ! あんたうざいわよ。
沙耶 良く言われます。
悟 姉さん。千歳ちゃんの事なら僕も話があるから、奥で話そうよ。
恵 必要ないわ、今ここで連れて帰る。この子がいないと、家の事がなんにもできないもの。
明日香 ちょっと、千歳はあんたの娘なんじゃないの? それを家政婦みたいに言ってるの、すごく腹が立つんですけど。
恵 はぁ、悟。あんたの店最悪ね。大人に歯向かってくる小娘のたまり場? こんな店、さっさと閉めた方が今後の為よ。
悟 店の事は姉さんには関係ないだろ。この店は僕が好きでやっていて、ここに来るお客さんも僕の大好きな人達だ。侮辱しないで。
恵 変わらないわね。子供のころからあんたは自分の周りを固めて、味方を作って。そうやって狭い世界で一生を終えるのね。
悟 姉さんは変わったね。家の体質が嫌で出てった癖に。あの時の姉さんが今の自分を見たら、さぞ悲しむだろうね。結局カエルの子はカエルってことかって。
千歳 やめて……。
恵 うるさい! あんたに、私の今までの何が分かるって言うの!
悟 分かるわけないだろ! 現実から逃げ続けたあんたの自業自得だ! それを娘に押し付けるなよ!
千歳 伯父さん……。
恵 何が現実よ。私が今どんな人たちと一緒にいるか教えてあげましょうか? 大企業の社長、政治家の先生、大物芸能人とそのマネージャー! どう? こんな大物たちが、私と一緒にいるためにお金を出すの! 昔の私なんて、ただのバカよ! それが真実の愛だなんだと言われて、浮かれて、子供が出来た途端逃げられた。哀れな小娘よ。
悟 なら、どうして今も苗字を変えてないんだ!
恵 ……。
悟 恵庭は、千歳ちゃんのお父さんの苗字だろ! 離婚してからかなり経つだろうに、どうしていつまでも鈴木に戻さないんだ!
恵 それは……。
保房 大人とは、裏切られた青年の姿である。
恵 は?
悟 保房さん?
保房 あなたは、愛の果てに裏切られ、大人になったんですね。裏切られ、多くの赤恥をかいた。それは、十分同情に値する事でしょう。ですが……。
恵 なによ。
保房 その姿を、まだ少女である彼女にそれほどまでに醜く見せつけるのは、親として果たしてどうなのでしょうか。
恵 醜いですって?
保房 ええ、自分を正当化し、周囲を見下し、己にはなんにも力がない事を喚き散らす。恐ろしいほどに醜いですよ。
恵 なんなのよあんた。
保房 親がいなくても子供は育つといいますが、あなたを見ていると、親がいるから子供が育たないのだと思えて仕方がありません。子供よりも、その親が弱い。
恵 ……。
保房 あなたの行いは、まだ少女である彼女の目の、本来の輝きを曇らせる。それは、あまりにも身勝手だとは思いませんか?
恵 私は……。
保房 千歳さん。
千歳 はい。
保房 千歳さんに夢はありますか?
千歳 夢ですか?
保房 はい。
千歳 私の夢は……。家族と……。一緒に暮らしたい……。
恵 ……。
千歳 伯父さんは、私の事を、家族って言ってくれた。沙耶さんは、お姉ちゃんみたいにしてくれる。響ちゃんと明日香ちゃんは、私の初めての友達なの。私は、この店に来てから、本当の家族を知った気がするの。一緒に笑って、怒ってくれて、 心配されて、それがすごく心地よかったの! ママとは経験したことなかった……。ねぇ、ママは私の家族?
恵 も、もちろんよ。あなたは私が……。
悟 もういいだろ姉さん。千歳ちゃんは僕が養子にする。姉さんは姉さんの幸せを 追いかければいい。でもそれは、千歳ちゃんの幸せと決してイコールじゃない。安心して、千歳ちゃんが独り立ちするまで、しっかり面倒をみるから。
恵 もう、いいわよ! 好きにすればいいわ! 私はもうあんたの事なんか知らない! 絶縁でも何でも好きにすればいい! 私はもうあんたの母親なんかじゃ
保房 お姉さん。その言葉は何があっても言ってはいけませんよ。
恵 っ……。帰る。
千歳 ママ! 私はママの事……!
恵は千歳を無視して店を後にする
響 千歳! 大丈夫?
明日香 ごめんね。私達何もできなくて……。
千歳 ううん。大丈夫。私の為に怒ってくれてありがとう。
沙耶 何なんですかね! あの人! 塩巻いときましょ塩!
玄関に塩をまく沙耶
悟 やめなさい。
保房 千歳さん。
千歳 はい。
保房 ごめんなさい。思わずお母様に言い過ぎてしまいました……。
千歳 そんな、私を思ってくれての事だと分かっていますから、むしろありがとうございます。
保房 優しいですね。今更こんな事を言うのも変な話ですが、今は見えなくなってしまったかもしれません。ですが、お母様の愛は、きっと存在していたと思います。見つからなくなってしまったのは愛の表現であるその作法なんじゃないかと、
私は思います。だから、お母様の事、憎んだりしないであげてくださいね。
千歳 はい。大丈夫です。私もなんとなく覚えているんです。昔の母は優しかった。だから、嫌いになんて、ましてや憎む事なんて出来ません。
保房 フフ、あなたは本当に素敵な子ですね。
悟 僕の姪ですからね。
保房 ああ、そうでしたね~。さすが、店長の姪御さん。いつか、お母様と仲直りが出来るといいですね。
千歳 ……はい!
沙耶 それにしてもさっきの保房さんかっこよかったですね! あんなにつらつら喋っているのは、演技している時だけかと思っていましたよ!
響 ちょっと怖かった。
明日香 最初の一言で場が止まったのもすごかったわ。
保房 ああ~、あれは~。全部太宰の言葉です。
沙耶 太宰怖!
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